内覧会チェックリストは「専門家」が使用しないと無意味な理由!?
住宅を購入。内覧会に向けて、自分自身でしっかりと住宅チェックをしたい。そのためにと「住宅チェックシート」をネット上から探している人もいるようです。
「住宅をしっかりと自分の目でチェックしよう」
と思うことは、とても大切な心掛け。ぜひ、そのような思いは、多くの住宅購入者に持っていただきたい要素です。
しかし、「住宅チェックシート」を使用するのは、正直無意味なもの(あまり効果的ではない)。その理由をお話したいと思います。
目次
「住宅チェックシート」はチェック対象・部位を示しているもの。
冒頭てお話したように、自分が購入した「住宅」をしっかりと確認することは、とても重要な要素です。
いまだに住宅内覧会を単なる「見学会」としてしまっている方は、とても多いんですよね。(不思議で仕方がありません)
その結果、購入数年後(概ね3年~5年後)に、不具合(漏水・フローリングの浮きや剥がれ等)が表面化してきて、結局、大きな出費(修繕)となってしまうケースが少なくないのです。
実際、日本全国の住宅トラブルなどの相談を引き受けている、こちらの「すまいるダイヤル」に寄せられる、新築住宅購入に関するトラブル相談は、年々増加傾向となっています。
まあ、住宅の不具合に関する対応って、上手く出来ているといいますか・・・。
一般的な住宅建材に関する保証期間は「2年」に設定されているものが大半なんです。(雨漏り・構造に関する瑕疵は10年の保証期間となっていますが。)
さらに、施工会社・販売主が設定している契約上の保証期間も「2年」。
しかし、新築時に内在している不具合が年月と共に拡大して、表面化してくるのは、経験上「3年~5年後」の期間なんですよね。
で・・実際に、住宅トラブルも「3年~5年後」に生じる(気が付く)ことが多いわけです。
そのようなトラブルに見舞われないため(トラブルが生じる確率を減らすため)には、「内覧会時点で住宅の機能的なチェック」が必要不可欠な要素となるのです。
大半の「住宅チェックシート」が専門家のために作られたもの。
これは、「住宅」に限った話ではないのですが、世の中、様々なアイテムが生産されていますよね。それらの商品に関して、かならず「機能的なチェック」が行われており、そのための「チェックシート」が存在しています。
ネット上に存在している「住宅チェックシート」の大半が、専門家が使用するために作られているものなのです。
それも当然の事なのですが・・。
そもそも、住宅に限ったことではなく、「機能のチェック」とはその商品に携わっている専門家(技術者)が行うべき要素なんですよね。
「製品の機能性チェック」は素人(一般消費者)が出来るものては無いわけです。その製品の専門的知識・技術を有していないのですから、当たり前の事なんですけどね。
基本的に「機能チェックシート」というのは、確認すべき項目・部位などを示しているもの。
「何を(どこを)検査・確認しなければいけないのか」
はチェックシートを見ただけでわかりますが・・
- どのようにチェックするのか(確認方法)
- どのように良しあしを判断するのか(基準など)
は、あくまでも検査・確認する人の知識・経験によって、導き出されるもの。チェックシートを見ただけでは、わからないのです。
例えば、「玄関ドアが正しく開閉できるかどうかを確認」というチェック項目があったとします。
これを見て、一般の方は、単純に「ドアを開け閉めすることが出来た」ことでOKと思ってしまうわけですが。
大切なのは「正しく開閉」ということ。
この「正しい」という意味がわかりますか?何が正しくて、何が正しくないのか・・。
これが一般の方には、わからないんですね。
実際には「建築基準法」「消防法」などの法規によって、「ドアが自動で閉まる速さの目安」があったり、「ドアを閉めた時の防火性能が取れている状態とは、どのような状態のことか」が防火扉を作る規定として存在しています。
- 玄関ドアが正しく開閉できるかどうかの確認
の中には、上記に記したような、様々な基準要素が含まれているのです。
「基準」を知っているだけでなく、さらに「可否の判断」も必要になるのですから、専門的な知識と経験を有している専門家でないと、チェックが出来ないことはわかっていただけますよね。
施工不良住宅は、一定割合で必ず存在しているもの。
- 大手デベロッパー&大手施工会社が作ったマンションだから、施工不良などないはず。
- コンプライアンスが問われるようになった現在、”手抜き工事”などはなくなっているのでは?
- ”マンション”なら不具合もほとんど無いのでは?
など
結構、世の中には、「楽観視」といえる情報(個人の感想など)が多く見られますが・・・。
正直、そんな考え方は大きな間違いです。
建築士としてゼネコンにて長く務めた経験&建物の作り手側としての経験があるからこそ、断言できるのが
*時代を問わず、施工不良住宅は、一定割合で必ず存在している
ということです。
もちろん、現在、見た目は立派な住宅(戸建て、マンション)と思われる中にも、施工不良住宅が存在しているのです。
※東京都下の某タワーマンションを襲った「手抜き工事」の悲劇~それでもマンションを買いますか?
上記は「現代ビジネス」の一記事ですが。
そこにも書かれているように、大手デベロッパー&大手施工会社が手がけた高級マンションの中にも、大きな施工不良を抱える、施工不良物件が存在しているのです。
このような施工不良物件の存在に、多くの一般人が気が付いていないだけなんですね。
では、何故、施工不良住宅の存在があまり公にならないのかというと・・。
作り手側(デペロッパー、施工会社)が施工不良物件の情報を積極的に開示しないのは、当然の事ながら・・
実は、施工不良住宅を購入した人々も施工不良住宅であることを隠してしまう傾向があるのです。
それは「住宅の不動産価値が無くなってしまうことを恐れる」から。
結局、施工不良住宅を購入した当事者までもが、口をつぐんでしまう傾向があるので、施工不良住宅の存在が一般的に知られなくなってしまうわけです。
このような、「住宅の機能性&施工性」に関する要素は、”チェックシート”だでは、とても見抜くことが出来ないもの。
住宅の知識・経験を重ねた専門家(建築士)によるチェック・確認が必要不可欠となります。
もちろん、完成時(内覧会)の検査だけでは、専門家でも見抜く事が出来ない不具合も少なくないのも事実です。
それでも、「住宅の機能性の欠如(機能的な施工不良)」の有無は、専門家(建築士)に依頼して、確認しておくべき、要素となるものです。
あなたは、どう思いますか?
住宅購入者が確認しておきたい要素とは!?
「住宅の機能的なチェック」は私のような専門家(建築士)に依頼していただくことを前提として時。
その上で、購入者自身が、何を確認すべきなのかというと、概ね下記要素があげられます。
- キズ・汚れの有無
- 予定通りの内容となっているか。(主に色と仕様)
- 「使い勝手」の確認。
- 現状把握
となります。
まあ、「キズ・汚れ」というのは、本来、「建売」の場合(マンションも建売です)は、そのままの状態での購入が原則となりますので、修繕対象とは言えない要素もあるのですが、通例的に補修していただけますので、確認要素としております。
重要なのは、その他の3項目です。
大半の方が意識していない要素ながら、とても大切な「現状把握」について、少しご説明しておきたいと思います。
内覧会時の「現状把握」が後々の不具合是正に大きな影響を与えることも。
「現状把握」とは、内覧会時点で実際に住居内がどのような状況となっているかを確認・把握しておくことを意味しています。
何故、現状把握が重要なのかと言うと、内覧会時点の状況がわかっていなければ、後々に何か変化が生じた時に、その変化に気が付かないからです。
特に、住宅は竣工・内覧会時点では、本当の完成ではないんですね。
少なくとも竣工後「一年」は、いろいろ住宅環境が変化するもの。最終的に落ち着いた状態となるのには、「一年~二年ほど」の期間が必要となるのです。
この過程にて、「悪い方向に何か変化が起こった」時に、内覧会時点での現状がわかっていないと、変化を知ることが出来ないことに。
その変化が、竣工時点で内在していた「不具合」なのかどうかを判断するためにも、内覧会時の状態がわかっている必要があるわけです。
ですから、私は内覧会同行サービス(当方が行っている内覧会同行サービスの概要はこちら)をご依頼いただいた方に対して、現地で、おすすめしているのが
- 部屋の隅々まで写真を撮っておくこと
です。
写真をとっておくと、内覧会時の減少を示す「証拠」ともなりますしね。
また、併せて、前項にて記した「何を確認すれば良いのか」に関しても、現地でお話させていただいています。
住宅は多くの人にとって一生に一度の大きなお買い物ですからね。数年ではなく、数十年使い続けるもの。
そう考えれば、最初(内覧会)の住宅チェックがどれほど重要なことが感じてもらえるのではないでしょうか。
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