内覧会同行サービスが必要とされる理由?!住宅トラブルが増加傾向に

内覧会同行(建築士)が必要とされる理由

近年、認知度が高まっている、建売住宅(一戸建て)・新築マンションの内覧会同行サービス(建築士による立会い)

内覧会同行サービスとは!?

ネット上では、「内覧会同行サービスなど活用しなくとも、自分でチェックすればよいじゃないか」「いやいや、内覧会に第三者を立ち会わせることは、とても大きな意義がある」など、相反するご意見がありますよね。

そんな情報を目にすると

  • 内覧会同行サービスを活用する必要があるのか?
  • 内覧会同行サービスを活用すべきなのか?

と迷われる方も少なくないのかもしれません。

そこで、ここでは、「内覧会同行サービス(建築士の立会い)が必要されている理由」について、客観的なデータをご紹介したいと思います。

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内覧会同行サービスの需要:「住宅トラブル」は年々増加傾向にて推移しているのです。

内覧会同行に関する、「批評記事(一種の口コミ)」などで

近年は、ディベロッパー(住宅販売主)や施工会社のアフターサービス対応も強化。入居後に何か不具合が生じても、ちゃんと修繕して貰えるから、内覧会時にわざわざ第三者の同行サービスなど利用する必要は無いよね。

などといったコメントを見かけることがありますが・・。

正直、その見解には、一部大きな間違いがあります。

確かに、ディベロッパーや施工会社がアフター対応を強化してきているのは、事実。これは、本当に私も実感していることであり、嬉しく思っている要素です。

でも・・そんなアフター対応を完璧に行っているのは、一部の企業のみ。

「後々発生してきた、住宅の不具合をきちんと修繕して貰えない」そんな状況が多々存在しているのが実情なんです。

だからこそ、内覧会時に第三者の専門家(建築士)を立ち会わせて、指摘要素などを記録に留めておくことが重要なポイントとなるのです。

住宅トラブルの相談件数

*出典:住まいるダイヤル

実は、「住宅トラブル」は年々増加傾向で推移してきています。

上記グラフは、住宅に関するトラブルの相談窓口として日本全国からの問い合わせを一手に引き受けている、公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住まいるダイヤル」の相談件数推移を示したものです。

2016年度における新規相談件数は、30,163件(前年度比5%増)となり、うち「新築等住宅に関する相談」は19,759件で、こちらも前年度比5%増となっています。

毎年、右肩上がりで「新築等住宅に関する相談」が増えているのがわかりますよね。それだけ、「住宅トラブル」が増加していることを示しているのです。

相談内容も多岐にわたっているようですが、「新築等住宅に関する相談」にて目立つのが・・

  • 新築住宅購入後、まだ数年しか経過しておらず、瑕疵期間中なのにも関わらず、発生した不具合を修繕して貰えない(無料で)。
  • 「許容範囲内」の状況だから、補修は出来ない。

など、なんだかんだと言われて、きちんとアフターフォローをしてくれないといった類の相談が増えていることです。

これは、データとして、きちんと示されている事実。

アフターフォローをちゃんと行ってくれないケースが多々存在している

ということは、現実として、認識しておいていだたければと思います。

住宅トラブルの相談内容

住宅トラブルの相談内容

上記表は、住宅トラブルの相談内容(住まいるダイヤル)を分類したものです。

戸建住宅・マンション共に、概ね共通して、多様なトラブルが生じていることがわかります。

さらに、具体的にどんな住宅トラブルに遭遇しているのか・・・相談内容事例をいくつかピックアップしてみたいと思います。

「こんな住宅トラブルがあるのか」

といったことを知るだけでも、これから住宅購入を考えている方にとっては、大いに参考となりますからね。

住宅トラブル・ケース1:土地の不動沈下。

施工業者から購入した土地上に、9年前に在来工法で木造2階建注文住宅を建築してもらい、その住宅に現在まで住んでいます。

新築後、まもなく土地に小さな穴が開き、しばらくして扉の開閉不良が生じるようになりました。その後、住宅の床が傾き、敷地内の一部が陥没しました。

これを施工業者に申し入れ、住宅の傾きの調査と建物際の地盤調査を行なったところ、東西方向に住宅(建物)の傾斜があることがわかりました。

また、敷地内の5箇所で行った地盤調査により、軟弱地盤であることもわかりました。この土地は、もともと河川に近いゴルフ練習場だった土地を分譲地として開発したところです。なお、住宅の基礎は布基礎です。

施工業者に補修等を申し入れましたが、施工業者からは、地盤の補修は有償になると言われました。

この住宅を建築する前に、施工業者から地盤調査を行うと言われ、そのための費用を支払ったのですが、「地盤調査は必要ない」と判断され、地盤調査費用を返金されました。

その事を施工業者に伝えると、「この程度の軟弱地盤では、建築当時の法令等においても地盤対策は必要なかっただろう」「地盤の傾きは地下水による不同沈下によるものかもしれない」と言われ、建築前に地盤調査を行なわなかったことに責任はないと主張されていますが、私は納得がいきません。

不同沈下を補修するためにはかなりの費用が必要となりますが、施工業者に無償で補修してもらうことは可能でしょうか。

*私の見解「土地」に関するトラブルは、10年程度の時間が経過してから、ようやくその存在に気が付くといった特性があるもの。

新築時に、「住宅の歪(床レベル、壁の垂直性)」を検査していれば、もしかしたら、その時点で兆候が見つかった(傾斜が存在など)可能性も考えられます。

内覧会時の「床・壁の精度の確認」は、土地状況のチェックにも繋がる要素なのです。

住宅トラブル・ケース2:基礎のひび割れ。

築1年半の木造在来工法2階建て住宅に住んでいます。入居から半年で、基礎のひび割れが目立つようになりました。

網目状のひび割れで、うち数本はひび割れの幅も広いので気になります。施工業者が現地を見に来たのですが、そのままにしていました。

最近になって、クラックスケールで計測したところ、幅0.5mm以上あります。構造上の不安を感じます。不安なまま住みたくないので、施工業者にはひび割れの補修だけでなく、根本的な不安の解消を求めたいのですが可能でしょうか。

*私の見解

まだ、入居してから、たった「半年」の出来事とのこと。おそらくは、内覧会時点にて、何かしらの不具合兆候があったのではないかと推測できます。

もしかしたら、「住宅全体の歪み」が存在している可能性も。大きな問題が内在している可能性も考えられそうです。

住宅トラブル・ケース3:外壁シーリングの剥がれ。

築5年になる軽量鉄骨造3階建て住宅に住んでいます。3年目頃から、外壁サイディングのシーリングが剥がれて隙間が開いてしまいました。施工会社は、10年保証の対象にはならないから、補修は有料になると言います。

シーリング自体に問題があるか、構造上に問題があるのではないかと言う人もいるのですが、施工会社が言うことは本当なのでしょうか。

*私の見解

法的には「保証対象」と認定されない要素って、案外、多く存在しているものなんです。

でも、保証対象ではなくとも、どう考えても「施工不良」が原因と考えられる状況があるもの。このケースもまさにそうで、「新築後3年程度」で外壁のシーリングが剥がれて来るのは、施工不全が原因と言えるものです。

このような要素も、内覧会時に何かしらの施工不良の兆候を発見することができた可能性も少なからずあるかもしれませんね。

住宅トラブル・ケース4:床の傾斜。

木造2階建て分譲住宅を契約しました。この住宅は、建設住宅性能評価書がついている住宅(評価住宅)です。

工事期間中の現場確認することができたので、工事中から、1階12帖位のリビングの床が水平でないことに気付いていました。

竣工して内覧会に出かけた時も、やはりその状態は同じでした。担当者に指摘しましたが、許容範囲内だと言って、まともに対応してくれませんでした。

不陸のひどい箇所は、家具を置いてみるとガタガタしたり、座ってみても座り直さないと落ち着かないような状態だったので、建築関係の知人に相談しました。

知人は、レーザーレベルで床のレベルを測定してくれたのですが、最大レベル差は12㎜で、ひどいところは90㎝の距離で10㎜も高低差がありました。

*私の見解

このケースでは、内覧会時にご自身で、「床のレベル不良」に気が付いていたようですね。

ただ、施工会社からは「許容範囲内だと言って、まともに対応してくれなかった。」とのこと。実は、このようなケースは少なくないんですよね。

「修繕に、大きな費用がかかってしまう」「修繕するのに、日数を要してしまう(引き渡しが遅れる)」といった不具合ほど、相手が素人だということもあって、まとめに対応してくれなかったりする・・そんな施工担当者が存在しているのです。

残念ながら、それが現実なんですね。

このようなケースは、内覧会時に建築士を同行させていれば、防げた出来事となりそうです。建築士が専門家として施工担当者と折衝できますので、引越し前には、修繕済とすることができた可能性がありそうです。

住宅トラブル・ケース5:床フローリングの不具合

木造2階建て保険付き新築住宅を1年前に引渡しを受けました。引渡し後、半年ほどで1階床フローリングの床暖房を敷いた部分で、きしみ音が酷いことに気付きました。

内壁クロスが杜撰で、クロスが裂けてきました。住宅会社は一度見に来て補修工事をすると言って帰ったのですが、連絡が取れなくなり、電話にも出ません。

住宅会社が倒産したかどうかは不明です。保険法人に連絡をしたところ、住宅会社について調べてはくれたのですが、基本構造部分でないから保険対象ではないとの回答でした。

住宅会社が設計を外注した工務店だけが連絡を取れるのですが、ここも困っているようです。どこにも補修はしてもらえないのでしょうか。

*私の見解
「床フローリング」のトラブルは、もしかしたら、最も多く存在している要素のひとつと言えそうです。

というのも、「フローリングの不具合」は、保証対象とならないケースが多いから。入居後では、無料で補修して貰えないことが多い要素のひとつなのです。

ゆえに、内覧会時に、しっかりとチェックをして、指摘しておかなければいけない要素となるのが「フローリングの不具合」なのです。

住宅トラブル・ケース6:キッチン漏水周りのトラブル

3か月前、新築分譲マンションに入居しました。
入居当時からキッチンの床が冷たいと感じていましたが、先月、歩くと床から水がじわっとしみ出てくるようになりました。

売主に連絡すると施工業者が調査に来て、「キッチンの浄水器のパッキンが悪く漏水していたことが原因」だと言います。そこで施工業者負担でキッチンセットの取り替え、キッチンとリビングのフローリングの張り替え、クロスの張り替えをすることになりました。

キッチンセットが届くまで1ヶ月かかると言われたため、1ヶ月間ずっと不便な暮らしを強いられてきました。着工日から、一家4人はホテルで暮らしています。工事は今月末まで続く予定です。

売主は「関係ない」と言って、全く対応がなく、施工業者は「生活保証について話し合いたい」と言います。私たちは慰謝料を請求したいと考えていますが、どのくらいの金額を請求したらいいのでしょうか。

*私の見解
入居早々に”違和感”があったとのことですから、「内覧会時点」で、すでに不具合が存在していたものと考えられます。

このような「漏水トラブル」は、さすがに”無料修繕”の対応をしてもらえるものではありますが・・。

「不具合が生じたら直せばよい」というものではありませんよね。

実際、このケースのように、長き期間、とても不便な生活を強いられることになるからです。

内覧会時に、不具合を見つけることができていれば・・状況は大きく違ったものとなったはずです。

住宅トラブル・ケース7:床の施工不良

2年近く前に入居した木造2階建の住宅ですが、2階洋室の木質系フローリングの床を歩くと体重で床がしなり、異常音がします。半年ほど前に販売業者にみてもらいました。

床の傾斜やたわみ部分を認め、来週末にレベル等の器具を準備して再度現場調査に来ることになりました。ひどい瑕疵ならば修理すると言っています。契約書には床の瑕疵については2年保証となっています。

地方公共団体の欠陥住宅相談に行ってこのことを相談したら、第三者の立会いを進言されました。ついては建築士等の団体を紹介して下さい。

*私の見解
入居後、「1年半程度」で表面化してきた不具合とのこと。これは、明らかに、新築時の施工不良によるものと考えられます。

おそらくは、内覧会時の検査で、不具合の存在が確認できていた可能性がありそうですね。

住宅の「機能性」に関する要素は、専門家(建築士)を交えて対象しないと、居住者にとって不利益となることが多いように感じています。

内覧会同行サービスの重要性。「内覧会時の指摘」がとても大切なものに。

少しブラックな言い方をすると・・。

「引き渡し完了してしまえば、後はなるべく費用をかけない(無料の修繕はしたくない)」

「内覧会時の指摘に対しては、多少、修繕対象外の要素であっても、快く補修を行い、早く”引き渡し”をしたい。」

というのが、販売主側の本音です。

このことを住宅購入者側から考えると

「内覧会時点の指摘は、ほとんど補修対応してくれるので、積極的&専門的にチェックをしておくべき」

「入居後(引き渡し後)は、なかなか無料では、不具合の補修をしてくれないものと考えておく」

ことがポイントとなるわけです。

いかがですか?

内覧会時に建築士を同行して、専門的なチェックをすることの意義があるとは思いませんか?

*今も施工不良住宅は、一定割合で必ず存在している

ということは、忘れないようにしておいていただければと思います。

当方が行っている「内覧会同行サービス」に関する内容は下記記事をご参照していだたければと思います。

  1. マンション内覧会同行サービスの詳細はこちら
  2. 戸建て内覧会同行サービスの詳細はこちら

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