マンション・一戸建て内覧会同行検査にて一級建築士の重要性が高まることに!
「マンション・戸建て住宅の内覧会を単なる”見学会”としてしまってはいけない」・・ということが、社会常識のひとつとして、広まりつつあります。
マンション・一戸建て住宅は、様々な職種の技術者が力を合わせることで、作り上げことが出来るもの。
多くの人が関わり合うものだからこそ、「人に関連するミス(ヒューマンエラー)」が存在する可能性が高いのが住宅(マンション・一戸建て)なんですね。
目次
マンション・戸建て住宅の内覧会同行サービス(検査)の実情。
実際は、昔からマンション・戸建て住宅の大きな不具合&施工ミスというものは、一定数存在していました。
ただ、2005年に明るみになった構造計算書偽造問題をきっかけとして、マンション・戸建て住宅の不具合・施工不良などがニュースとして、大きく取り上げられるようになったんですよね。
その結果、大手デベロッパーや大手ゼネコンが手がけた、大規模マンションなどでも
- 基礎の構造的不具合
- マンションの沈下・傾き
- 梁などへの構造体貫通に関するミス(構造的不具合)
などが発覚。世間を揺るがす大ニュースとなりました。
*1.工事の不具合による高級マンション「ザ・パークハウスグラン南青山高樹町」の販売中止・契約解除(事業主:三菱地所レジデンス、施工者:鹿島建設)|日経XTECH
*2.横浜市西区のマンションが傾いた。欠陥マンションの裏側。(事業主:住友不動産 施工者:熊谷組)|日経ビジネス
私からしてみれば、”やっと、ニュースとして取り上げられるようになったんだな。”というのが、正直な感想です。
と・・同時に、大手デヘロッパーだから、大手ゼネコンが手がけたマンションだから施工不良・不具合は無いだろう(少ないだろう)という考え方が、大きな間違いであることも、少しは一般の方々に伝わってくれたのでは、と思ったものです。
建築士としては、このように大手ゼネコンの物件であっても、一定数”不具合・施工不良”が存在していることは、ある意味常識として認識していますからね。
一生に一度の高価な買い物である、住宅購入。本当は「工事中の検査(建築士による工事監理業務といいます)」が有効なのですが・・。少なくとも購入した住宅(マンション・戸建)の内覧会時に専門家(一級建築士)の調査を活用しないなんて・・・私的には、ちょっと考えられないことなんです。
大手ゼネコンなどは、「高い技術力」「最先端技術」を有していますので、それらを駆使した建造物を構築することが可能です。それは、中堅以下のゼネコン・工務店などには出来ないことなんですよね。
- 高度な技術力
- 最先端技術
という意味では、大手ゼネコンでならではの利点。大手セネコンと中堅以下の施工業者にて、この違いがあるのは、事実なのですが・・。
誤解してはいけないのが
- 「大手ゼネコン」と「中堅以下のゼネコン・施工業者」を比較した時に、大手ゼネコンの方が、「施工ミスが無い」「大きな施工不良が無い」というのは間違った考え方。
だということです。
「大手ゼネコンが建てた、マンションの方が施工不良が無いだろう・・」と思っていませんでしたか?
そうではないんですね。
”施工不良・施工ミス”に関しては、企業の大小に関わらず、一定割合で存在しているのが実情です。
逆に、下手したら、”大問題となる施工不良”は、多くの人が関わり合っている、大手ゼネコンが手がけた大規模マンションの方が、発生する確率は高いのかもしれません。
”多くの人が関わっている方が、ヒューマンエラーが存在する確率が高まる”からなんですね。
大手デベロッパー・大手ゼネコンが手がけたマンションでも、大きな不具合が存在することが知れ渡ったことが、きっかけに。
大手デベロッパー・大手ゼネコンが手がけた大規模マンションにて、相次いで、大きな施工ミス・重大な不具合が発覚。ニュースとなったことが、一番、大きなきっかけとなって、広まってきたのが。
*内覧会同行(立会い)サービス
です。
内覧会同行(立会い)サービスを専門的に行う、企業も複数創出されるとともに、現在では、全国にて内覧会同行サービスを行っている一級建築士事務所も増えてきました。
それと共に、内覧会同行(立会い)サービスを活用される方も年々増加傾向となっています。
大手企業が手がけた物件であるかどうかに関わらず、新築住宅(マンション・建売住宅)には、一定確率で”不具合・施工不良”が存在するものという認識も広まってきているのであれば、喜ばしいことなんですけどね。
まだ、正直・・。一般の方の認識として、そこまでには至っていないように感じています。
検査側の課題が表面化。検査技術・知識・経験の格差。
マンションなどの内覧会同行サービスを活用される方が増加するとともに、表面化してきた課題のひとつが「検査を行う側の技術・知識・経験の格差」という問題です。
実は、現時点で「内覧会同行検査を行うための技術・資格条件が無い(定められていない)」のです。
簡単に言えば、「誰でも、内覧会立会い(検査)を行うことが出来る」ということなんですね。
実際、内覧会立会いサービスを専門的に行う企業体には、「一級建築士」や「一級施工管理技師」といった公的資格を有していない人も多く在籍しています。
私としては、当初から・・そのような状況にはかなり疑問を持っていたんですよね。
内覧会同行検査に求められているのは、単に見かけ上の「キズ・不具合」を指摘するだけではないのです。
- 視認することは、出来ない”床・壁”などの下地の不具合
- 住宅設備機器(空調・給排水など)の作動・設置状況の適正
- 目視確認は不可能なので、住宅構造上の不具合を断定できないまでも、存在可能性を推察すること。
といった、不具合要素の有無の見極めだけでなく、状況によっては
- 施工不良が見つかった時の、補修・修繕方法の適正判断。
- 施工担当者との修繕に関する各種折衝
を行うことも、内覧会同行検査において、必要な要素となるものです。
このような要素は、『実際に、自分自身がマンションや戸建て住宅を設計したり、施工管理したことが無いと応じることが出来ない』ものなんですよね。
必然的に、「マンション・戸建て住宅の設計・施工に関する技術・知識・経験を有している」ことが、必要条件として求められるはずなのです。
あなたは、そんな技術・知識・経験を持っていない人に、お金を払って、内覧会同行検査を依頼したいと思いますか?
でも、実際には、「内覧会業者の場合、その多くが、検査担当者を指定できない状況」です。
私のような個人で行っている一級建築士事務所の場合は、検査担当者が明確となりますので、必然的に一級建築士の資格を有する者が、検査を行うこととなりますが・・。
どんな検査員が来るのかわからない(知識・経験に大きな格差がある)のは、依頼する側から考えると、リスクと感じてしまいますよね。
2018年4月から、「中古住宅の売買」の立ち会い検査には、資格条件が設定されることに!
国土交通省としても、現状の「内覧会同行検査」に関して、やはり利用者の観点から、課題があることは認識しているようです。
そこで、まずは、今年2018年4月から、既存住宅(中古住宅)の売買に関連して、改正された宅建業法が施行されることとなります。
一番大きな改正ポイントとなるのが・・。
既存住宅(中古住宅)の検査を行えるのは、『既存住宅状況調査技術者』の資格を有しているものに限定されることとなりました。
この”既存住宅状況調査技術者”(なんで、こんなに長くて、わかりずらい名称なんだろう・・という疑問はありますが、(笑))の資格を取れるのは、「建築士のみ」となっています。
”建築士”でなければ、”既存住宅状況調査技術者”の資格を得ることができず、しかも、”既存住宅状況調査技術者”でなければ、既存住宅(中古のマンション・戸建て住宅)の検査を行うことがてきなくなったわけです。
”中古住宅”の不具合有無を見極めるのは、”新築住宅”の不具合有無の見極めよりも、高い知識と経験が必要となります。
ゆえに、まずは、「既存住宅(中古住宅)の検査」に関して、技術・知識・経験的な要件を定めたということと理解しています。
ちなみに、私も、この”既存住宅状況調査技術者”の資格を得ています。
私(バウムプランニング一級建築士事務所)が行っている既存住宅状況調査の概要は、こちら既存住宅状況調査(中古住宅調査)をご確認いたただければと思います。
今後は、新築住宅(マンション・戸建て)の内覧会同行検査においても、資格要件が設定されていくものと考えています。
まだ、具体的な話は聞かれていませんが、今後は、「新築住宅(マンション・戸建て)の内覧会同行検査」においても、既存住宅と同様に、何かしらの資格要件が設定されていくひととなるのではないでしょうかね。
新たな資格が設定されないにしても、『一級建築士であること』は、内覧会同行検査を行えるものとしての、必須条件となっていくものと推察しています。(知識・経験的には、一級施工管理技士を持っていることも、有効だと思います。)
もちろん、一級建築士を持っているからと言って、技術力・知識・経験は、人それぞれで格差があるものと思います。ですからもあくまでも、一級建築士であることは、最低限の必須条件ということに。
ただ、一級建築士の資格すら持っていない人は、そもそも基準外だということ。
そういう意味で、2018年4月以降は、新築マンションなどの内覧会同行検査の依頼先(内覧会同行業者・一級建築士事務所)を選ぶ上でも
- 既存住宅状況調査技術者
の資格を有している人(一級建築士)を依頼先に選ぶようにすると、さらに安心&効果的な内覧会同行サービスの活用に繋がるのではないでしょうか。
ちなみに、私が行っている内覧会同行(立会い)サービスの概要は、下記記事にて、記していますので、ご参照いただければと思います。
●マンションの内覧会同行サービスの詳細はこちら
●戸建ての内覧会同行サービスの詳細はこちら
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