「窓」のリフォームにて「防音」を重視?それとも「換気」を重視?
「窓」は住宅要素の中でも、とても重要な機能を担う部位となっています。
そんな「窓」をリフォームする時には、安易に仕様を決めてしまうのではなく、ひとつひとつ、場所ごとにしっかりと吟味をした上で仕様を決めることが求められます。
目次
「窓」のリフォームにて、重視すべき機能とは?!
皆さんは、「窓」の機能を上手に活かしていますでしょうか?
同時に、「窓」の弱点を上手くカバーすることが出来ていますでしょうか?
住宅において「窓」という要素は、非常に重要な役割を担っているとともに、住宅に「弱さ」をもたらす部位ともなっているのです。
ですから、心地よい生活環境を作るためには、「窓の機能」を上手に活かしつつ、「窓の弱点」を上手く補ってあげることが必要となるのです。
「窓」が担っている役割(機能)
心地よい生活環境を作り、住宅を少しでも長く良き状態を保つためには、「窓の役割(機能)」と「窓の弱点」を把握しておく必要があります。
まずは、「窓」が担っている「役割(機能)」について考えてみましょう。
「窓」には、下記3つの大きな役割があります。
- 「明るさ(光)」を室内に取り入れること
- 室内の空気を「換気」すること
- 窓を通じて、「出入り」すること
です。
「明るさ(光)」の獲得:採光
日中「明るさ(光)」を室内に取り入れることは、「窓」のみが有する大切な役割となります。この役割を「採光」と呼んでいます。
この場合の「明るさ(光)」というのは、「天空光(てんくうこう)」を対象としています。
「天空光」は太陽の光のうち、大気中の水蒸気や塵(ちり)などによって拡散されるか、雲から反射されて地面に到達する光で、「直射日光」を除いたものとなります。
「窓から光を取り入れる」というと、なんとくなく「直射日光を取り入れる」ことと思ってしまう方が多いのでしょうかね。でも、「直射日光を取り込む」ことは「採光」では無いのです。
*「直射日光」は、窓から取り入れないようにする
ことが大切なポイントとなります。
室内の空気の入れ替え:換気
室内の空気を外気と入れ替えることを「換気」といいます。
密閉された居室で人が生活していると徐々に空気が汚れていきます。空気中に浮遊する「埃」「カビ胞子」が増加します。
また、「酸素」が減少して、「二酸化炭素」などが増加。健康に悪影響を与えることとなります。
そんな汚れた室内の空気を外気と入れ替えることにより、生活環境を回復することが「換気」の目的となります。
近年、自由宅においては「換気」の役割を担う「換気口(自然給気口、機械式給気口、機械式排気口)の設置」が義務付けられるようになりました。(24時間換気システムの設置)
ただ、それでも「窓」による換気は依然として、必要不可欠な要素となっています。
外部への出入り:「出入口」
「窓」には、「外部への出入り」の役割を有するものがあります。(掃き出し窓)ほとんどの住宅にて、必ず一か所は「出入り」の役割を有する窓が存在しています。
日常的なバルコニー・庭などへの出入りだけでなく、緊急時の「避難経路」としての役割を担っている窓もありますので、日ごろから、きちんと開閉できる状態を維持しておくことが求められます。
「窓」が有している「弱点」
前項にて記した「機能」を獲得するために設置される「窓」には、下記のような「弱点(デメリット)」が存在しています。
- 「熱」を伝達してしまうこと。
- 「音」を伝搬してしまうこと。
- 不審者の侵入経路となってしまうこと。
です。
「熱」の伝達。
「外壁」と比較して、「窓」は「熱を伝達しやすい」という特性を有しています。
夏季節では、外部の熱(暑さ)を室内に伝達するとともに、室内の冷気(冷たさ)を外部に逃がしてしまいます。結果として、室内が暑くなり、生活環境の悪化を招いてしまいます。
冬季節では、逆に室内の熱(暖かさ)が外部へ放出。外部の冷気が窓を通じて室内への伝達して来ます。その結果、室内が寒くなり、これまた生活環境の悪化に繋がるわけです。
「音」の伝番。
「音」に関しても、「外壁」と比較して「窓」は音を伝えやすい特性を有しています。
主には、外部の騒音が窓を通じて、室内に伝搬。室内の安住性が損なわれることとなります。
不審者の「侵入経路」
不審者(窃盗など)の侵入経路として、最も利用されているのが「窓」です。
警察庁による統計データ(平成29年)によると、侵入窃盗の侵入口として、一戸建て住宅においては、「窓:57.6%」。共同住宅の三階以下にて、「窓:56.9%」。共同住宅の4階以上においても、「窓:34.9%」の利用率となっています。
「窓」は、防犯上の弱点となっているのです。
「窓」のリフォーム・ポイント。何の「機能」を活かして、何の「弱点」を補うのかを明確にする。
「窓」の3つの機能(採光・換気・出入り)が適切に行えなくなった時、及び「窓」の弱点(熱の伝達・音の伝達・不審者の侵入)が目立つようになった時がリフォームのタイミングとなります。
窓の機能が衰え、窓の弱点が促進されるようになると、具体的な不具合現象が生じて来ることに。
例えば
- 窓の結露
なども代表的な不具合現象のひとつです。
「換気」の機能が衰え、「熱の伝達」が促進されると「結露」が発生することに。対策として、「換気機能」を高め、「熱伝達」を防ぐための窓リフォームが必要となります。
一般の方は、「窓」と言うと、すべての「窓」に対して、同じ機能性を求める傾向がありますが、実際には、窓ごとに、求める機能の優先順位が異なっているのです。
- 「採光」が最優先の窓
- 「換気」が最優先の窓
- 「出入り」が最優先の窓
といった個性(違い)が存在していることを認識していただければと思います。住宅設計をする時には、必ず、窓ごとに設計意図(窓の役割分担)があるものなのです。
適切な「窓リフォーム」をするために、まずは、この「窓機能の優先順位」を把握することが第一歩となります。
その上で、「この窓には、何の機能を活かさなければけいないのか、何の弱点を補わなければいけないのか」を考えることが次のステップに。
個々の「窓」ごとに必要要素(必要条件)を整理したら、その項目に応じた対策を行うことが、失敗の無い効果的なリフォームとなるのです。
具体的な失敗事例。「二重サッシ」は、「換気」を損いやすいことに注意。
「窓の弱点」を補うために、最も効果的なアイテムとして「リフォーム用二重サッシ(窓)」があります。
既存の窓をそのまま活かしつつ、新たに室内側へもうひとつ新規窓(リフォーム用窓)を設置するというものです。
リフォーム用の二重サッシ(窓)として、例えば、こちらのLIXIL リフォーム用窓「インプラス」などが人気商品となっています。
*出典:LIXIL
「リフォーム用二重サッシ」を活用することで、窓の弱点である「熱の伝達」「音の伝達」「不審者の侵入」のすべてを補うことが可能となります。
窓のすべての弱点が改善されるのであれば、「二重サッシ」が最高の窓で、全ての窓を二重サッシとすればいいじゃないかと・・と思う方も必ずいらっしゃると思うんですよね。
実際、住宅設計や住宅リフォームの現場では、そのような希望を持つ方(住宅購入者など)が少なくありません。
しかし、「二重サッシ」にも、デメリットが存在しているのです。それが・・。
*「換気」機能に劣っている(換気がしにくくなる)
ことです。
「二重サッシ」とすると大半の方が、窓の小まめな開け閉めをしなくなります。「換気」を怠るようになってしまうんですね。
「換気」は一か所の窓を開け閉めするだけでは、意味が無いもの。基本的には、「南側の窓」と対として「北側の窓」を開放することによって、室内に空気の流れが生まれ、換気が行われることとなります。
ゆえに、案外、見落としがちとなるのが、リビングと反対方向(主に北側)に「換気」の機能を重視した窓が必要となるということ。
このことを無視してしまい、リビングも反対側の居室も二重窓としてしまうと、「換気」をする機会が激減。生活環境が悪化(カビ、埃などの増加)してしまうのです。
特に、「換気」を重要視したい「トイレ」「納戸」などの窓は、換気機能を優先した窓仕様とするべき。「二重サッシ」は不向きとなります。
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