マンションの内覧会同行調査にて見つかる不具合事例!
私(baumplanning一級建築士事務所)が行っている新築マンションの内覧会同行サービスにて、見つかる「新築マンションの不具合・施工不良」事例をいくつか重要な要素を抜粋する形でご紹介したいと思います。
目次
新築マンションの内覧会同行サービスを通じて、見つかる「不具合」「施工不良」事例をご紹介。
大手ディベロッパーが販売している、「新築分譲マンション」であれば、”不具合”や”施工不良”などは、ほとんど無いのでは?と一般の方は思っているかもしれませんね。
しかし、多くの人手(沢山の職人さん)によって建てられるマンション。実際には、一定割合で「不具合」「施工不良」が存在しているものです。それが実情なんですね。
単なる「キズ・汚れ」であれば、いいのですが。
残念ながら、そのままでは「生活に大きな支障が生じる」「将来的に、致命的な不具合へと発展してしまう」といった不具合が案外、存在しているものなのです。
ここでは、私が実際に内覧会同行サービスを行った時に、見つかる「生活に支障が生じる可能性のある不具合」の事例(代表的な事例のひとつ)をご紹介したいと思います。
*下記にご紹介した要素以外の不具合・施工不良要素も多々存在しています。
各種スリーブ(給気・排気・エアコン)関連の不具合。
分譲新築マンションの多くは「鉄筋コンクリート造(RC造)」で作られています。
ゆえに、建物を建ててからでは、”壁”などに穴があけられませんので、新築マンションの場合は、最初から「給気口」「排気口」「エアコン配管用の穴」が設けられています。
これらの各種穴には、機能上大切な「スリーブ」と呼ばれるパイプが設置されているんですね。
この「スリーブ」及び「給気口」「排気口」に関連する不具合が度々あります。
1)エアコン配管用穴(スリーブ)位置の施工ミス
最も、機能上大問題となるのが、「エアコン配管用穴」の位置が間違っているという不具合。穴位置が間違っていることによって、「エアコンが設置出来ない」というケースがあるのです。
この場合は、ほぼ効果的な対象は出来ないことが多いもの。「補償」という形で対処したり、「契約破棄」となったケースもあります。
2)給気口のスリーブ設置忘れ
「給気口」は単に穴をあけるだけでなく、適切に内部と外部をスリーブによって接続しなければいけません。
しかし、この「スリーブの設置忘れ」という不具合が時折、存在しています。
”スリーブ未設置”のままだと、「壁内部に結露の発生」など大きな問題を引き起こす要因となってしまいます。
毎年、数件「スリーブの施工ミス(設置忘れ)」を発見していますので、一定割合で存在する施工ミスと言えます。内覧会時には、要チェックの要素に。
3)給気口・排気口のキャップカバーの不具合
給気口・排気口のキャップカバーは、きちんと固定されている必要があります。固定されていないと、外部からの「雨水の侵入」などをもたらす要因となってしまいます。
バルコニーの床勾配の不具合。(排水溝などの勾配が基準に達していない)
「スリーブ関連」に続いて、躯体に関連する大きな不具合のひとつが「バルコニーの排水勾配不足」といった要素です。
新築マンションのバルコニーも”RC造”で作られているもの。バルコニーには、雨水を適切に排水するために必要な「勾配基準」が設けられています。この”勾配”は、躯体を作るときに、ほぼ決定されてしまう要素なんですね。
ゆえに、内覧会同行にて、「バルコニーの勾配不足」を発見した時には、かなり大がかりな修繕対策を要求することとなります。
状況によっては、「適切な勾配に修繕することができない」というケースも。
この「勾配」に関する不具合の判定は、感覚的な話だけではダメで、きちんと数値を計測した上(水準器・レーザー計測機など)で不具合の指摘をする必要があります。
「床」の”勾配”及び”施工状況”に関する不具合
躯体に関わる可能性がある、3つ目の不具合が「床の勾配」に関する要素です。
住宅の「床勾配」に関して基準(3/1000)があります。床の勾配が基準値を超えているケースがあるのですが、この場合、下記3つの可能性があるんですね。
- 床材(下地を含めて)が傾いている。
- 建物全体が傾いている
- 「地盤」が傾いている
「1」のケースは、床材の張り直しにて、リカバリーが可能となりますが、「2」「3」のケースでは、リカバリーはほぼ不可能なものとなります。
まあ、多くの場合「1」のパターンなのですが、いずれにしても、正確に数値で検証しないと判断できないもの。床勾配の不具合の有無を見極める上では、専用の機器(レーザー水準器)を使用しての正確な調査(検査)が必要となります。
「フローリングの浮き(施工不良)」に関しては下記記事にて詳細を記していますのでご参考に。
●新築マンションの「不具合対処」事例01:フローリングの浮き
排気設備用のダクト(浴室換気扇・レンジフード)の不具合。
住宅機能を大きく損ねる不具合要素として、「排気設備用のダクトの施工不良」があります。
主に「浴室乾燥機付き換気扇」と「キッチンのレンジフード」が対象となります。
びっくりするかもしれませんが・・。
- ダクト(上記写真の銀色部分)が無い(施工されていない)
ということも、何度かありましたからね。
ダクトが無くても、機器は動きますから、おそらくは、そのまま使用してしまっているというお宅も存在しているのかもしれません。(ダクトが無いと排気が天井裏&室内に撒きちらかされることに。天井裏など、すごく傷んでいるものと思います。)
また
- ダクトの接続&密閉が適切になされていない。
- ダクトに穴が開いている(エアー漏れ)
- ダクトの支持金物不足&固定不良
といった施工不良も度々発見される要素です。
「壁材(石膏ボード)」の施工不良。
これも、新築マンションでは、一定割合で見かける不具合要素となります。
- 壁材が下地材にきちんと固定されていない。(動いたり、隙間が生じたり)
- 壁が傾いている
- 壁が膨らんでいる
これらの要素は、見栄えだけての問題ではなくて、大き目な地震などが生じたときに、内部の損傷が大きくなってしまう要因となります。
地震に対して、大きな住宅被害を招きやすいということ。補修が少々大がかりとなりますので、「入居前の補修」が必須な要素のひとつ。内覧会時に指摘しておく必要がある不具合です。
「レーザー計測機」などを用いた検査が必要となります。
また、全国各地から寄せられている「住宅トラブルの相談事例」などをこちらの記事「内覧会同行(建築士)が必要とされる理由?!住宅トラブル事例など」にて記していますので、併せてご参照いだたければと思います。
給排水管の施工不良(未接続など)
何故??と不思議に思う方が多いと思いますが・・。
分譲マンションでも時折、「設備配管(給水管)の未接続・施行不良」が見つかることがあります。
過去に何度も「給水管の施工不良」を発見していますので、こちらも内覧会時にしっかりとチェックしておく必要がある要素となります。
同時に、このような給排水管の施工不良が見つかったときは、当該物件の「工事管理」が雑であることの証となるもの。
目に見えない部分(隠ぺい部分)に”不具合・施工ミス”が潜在している可能性が高まります。
専門家(建築士)による調査が必須に。
計測機器(数値の確認)を使用した、専門的な検査が有効に。
内覧会同行検査を行うと、上記した不具合以外にも様々な不具合・施工ミスが発見されます。(ビスの施工忘れ、サイズ間違いなどなど)もちろん、ほとんど不具合は無く、「汚れ」があった程度という、良質な物件も多くあります。
ただ、住宅機能に大きな影響を与える不具合・施工ミスが一定割合存在しているのも事実で、それらは、計測機器の使用などを含めて、専門的な検査で見出せる要素となっています。
私(baumplanning一級建築士事務所)が行っている、新築マンションの内覧会同行サービスの詳細をこちらに記していますので、まずはお気軽にご相談いただければと思います。
「マンション」の内覧会同行サービス
併せて読みたい「不具合事例」関連情報
●戸建住宅(建売住宅)の内覧会同行検査にて見つかる不具合事例!
●マンションの内覧会同行調査にて見つかる不具合事例!
●建売住宅(一戸建て)の「不具合事例01」:排水管の未接続|内覧会同行
●新築マンションの「不具合対処」事例01:フローリングの浮き|内覧会同行